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■ツシマヤマネコの遺伝子研究 アニコム先進医療研究所と日本動物園水族館協会

2023-09-06 16:50 | 前の記事 | 次の記事

アニコム損害保険株式会社は、2023年8月31日、グループ会社であるアニコム先進医療研究所株式会社と公益社団法人日本動物園水族館協会が、絶滅危惧種ツシマヤマネコの個体数の回復を目的として、遺伝性疾患の解明や遺伝的多様性を向上させる共同研究を開始したと発表した。公益社団法人日本動物園水族館協会の要請にアニコム先進医療研究所株式会社が応じた。

ツシマヤマネコは、「国内希少野生動植物種」で、環境省のレッドリストの最も絶滅リスクの高い絶滅危惧種ⅠA類に指定されており、国の天然記念物でもある。現在の生息頭数は100頭程度と推定されている。環境省はツシマヤマネコの保護を図るため、「種の保存法」にもとづく保護増殖事業を進めており、この枠組みの中で、日本動物園水族館協会に加盟する動物園で飼育されている。

この飼育下繁殖において、一部の個体で、遺伝性が疑われる心疾患が確認された。しかし、そのリスク因子は不明。また、個体数が少ないツシマヤマネコは遺伝的多様性が極めて低く、その多様性の維持、向上が望まれている。

アニコムグループでは、かねてからイエネコの心疾患や腎疾患に関する遺伝性心疾患のリスク評価や、遺伝的多様性の研究に取り組んできた。ツシマヤマネに関しても、2021年によこはま動物園ズーラシアが中心となって進めていた人工授精の取り組みに参画している。

今回の共同研究では、ツシマヤマネコの心疾患の遺伝的なリスクを評価するとともに、遺伝的多様性の向上に最適な繁殖計画の策定を目指す。「全ゲノム解析」の解析技術を応用し、遺伝的多様性が低いツシマヤマネコにおいても効果的に研究を進めていく。また、対馬において交通事故や誤って罠にかかりケガをして保護された野生のツシマヤマネコの情報もあわせて解析し、野生個体と飼育下個体の遺伝多様性の違いについても詳細に比較する予定。