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■ペット飼育で社会保障費抑制 論文が発表される

2023-02-09 13:47 | 前の記事 | 次の記事

月額介護費の推移

地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センターは、社会参加と地域保健研究チームの「ペット飼育と社会保障費との関連性」に関する研究論文が、米国科学誌「PLOS ONE」に2023年1月27日に掲載されたと発表した。

ペット飼育と社会保障費抑制の関連性を明らかにした発表は、初めてのこと。

§研究成果の概要

調査時の月額医療費は、(1)ペット飼育者が48,054円、(2)ペット非飼育者が42,260円であり、調査期間における月額医療費の比は最小0.9、最大1.2と有意な差はみられなかった。一方、(1)ペット飼育者と(2)ペット非飼育者の調査時の月額介護保険サービス利用費は676円と1,420円であり、調査期間中における月額介護費の比は最小1.2最大2.3と有意な差がみられた。

同研究では、ペット飼育者と非飼育者との間で医療費に差は生じていなかった一方で、ペット非飼育者に比べて飼育者では介護費が約半額に抑制されていることが示された。これは、ペット飼育者では、利用する介護サービスの利用頻度が低いことや、軽度の介護サービスの利用に繋がっていることが考えられる。

高齢化の進展に伴う介護費の増大に対して、犬や猫の飼育は介護予防効果のみならず、介護費の抑制にも寄与することが示唆された。ペットを飼育することによる役割、責任感、活発で規則正しい生活の維持など、介護費に反映する可能性のある日常生活の自立・自律に関する多面的な要因が考えられる。

  • 問合せ:地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター
  • 社会参加と地域保健研究チーム 谷口 優先生(協力研究員)
  •     E-mail:yu0717(アットマーク)tmig.or.jp

§掲載論文