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■環境負荷軽減のための牛のトイレトレーニング

2022-06-24 16:39 | 前の記事 | 次の記事

農林水産省発行の家畜衛生週報No.3706(2022.6.6)「通信」(あとがき)に、環境負荷軽減を目的とした子牛のトイレ訓練についての研究論文を目にしたと書かれていた。

論文はドイツとニュージーランドの研究者の共同研究をまとめた次のものであった。

16頭の子牛に対して、まずトイレ内で排尿ごとに餌を与え、10頭に対して報酬への学習がみられた。次に引き続き16頭に対して、トイレ内での排尿には餌を、路地での排尿には不快刺激(水スプレー)を与えたところ、11頭はトイレで排尿するようになった。最後に11頭に対して、トイレ外の面積を拡大したところ、10頭はトイレを使用し続けた。牛に対してトイレトレーニングが可能なことを示した。

この成果は、より効果的な尿の収集、処理、処分方法を開発につながる。

当該論文は「牛の尿の約80%をトイレで回収することで、アンモニア排出量を56%削減できると算出されている。さらに、生活圏の汚染を減らせることで、家畜は清潔を保ち、動物福祉を向上させることができ、環境汚染も減らせる。賢い牛が環境破壊の問題を解決に寄与する」と締めくくられている。論文には、トイレで排尿する牛の動画も収載されている。

なお、家畜衛生週報の「通信」では、今年の1月19日の農業資材審議会飼料分科会で、飼料安全法施行規則に定められた飼料添加物の用途「飼料の栄養成分その他の有効成分の補給」の1つとして温室効果ガスの削減が位置づけられたことも紹介している。牛の曖気によるメタン排出に対しての飼料選択は、日本の重要な研究課題となっている。今回の「位置づけ」で、担当者により具体的な安全性等の審査・評価の在り方が検討されているとのこと。