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■免疫組織化学によるマレック病の新規診断法の開発

2022-06-22 16:16 | 前の記事 | 次の記事

マレック病の新規診断法のイメージ。作出した抗体を用いた免疫組織化学によりマレック病の腫瘍細胞を検出することで、マレック病を正確かつ簡便に診断できるようになる。

農研機構は、2022年6月15日、マレック病の腫瘍細胞を特異的に検出するモノクローナル抗体の作出に成功し、抗体を用いた免疫組織化学によるマレック病の新規診断法を確立したと発表した。

鶏やウズラなどの家禽に腫瘍を起こし、養鶏産業に多大な経済損失を与えるウイルス性の感染症であるマレック病は、類似疾病との鑑別が難しく、疾病予防対策のため正確かつ簡便な診断法が求められていた。有効なワクチンの普及により発生は減少したが、食鳥検査では年間数万羽がマレック病により食用に適さないと判断され廃棄されている。

マレック病の確定診断にはPCR検査等のウイルス感染の有無を検出する検査は有効ではなく、腫瘍組織のホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)標本を顕微鏡で観察する病理組織検査が用いられている。しかし、この方法ではリンパ腫を生じる鶏白血病などの類似疾病との鑑別が難しい。

農研機構は、マレック病の腫瘍細胞に特異的に発現するタンパク質に対するモノクローナル抗体を作出し、これらの抗体を用いた免疫組織化学によりFFPE標本上のマレック病の腫瘍細胞を検出することでマレック病を正確に診断する手法を確立した。この新規診断法により、特別な機器や熟練の診断技術がなくとも、正確かつ簡便なマレック病の診断が可能になる。

同診断法は、国内の家畜保健衛生所や食鳥検査所等で、免疫組織化学によるマレック病の診断法としての利用が期待される。

研究担当者は農研機構動物衛生研究部門 衛生管理研究領域 研究員の黒川 葵先生と上級研究員の山本 佑先生。