HOME >> JVM NEWS 一覧 >> 個別記事
同性愛の男子と腐女子の高校生が織りなす物語。原作の小説『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』(浅原ナオト)はヒットし、ドラマ化もされている。そしてさらに今回の映画化(ドラマの映画化ではない)である。
同性愛の男子の純は、何故自分がこう生まれてしまったのかと悩み、「正常」になりたいと望む。そのために腐女子の紗枝と交際する。
事が学校に露呈して友人に責められ、主人公の男子は耐えきれず教室の窓から飛び降り自殺を図る。その後で行われるクラスでの話し合いで、取ってつけたようような理解を示す発言。葛藤を経て、そして寄り添い包み込んでしまう腐女子。その寄り添う様には脱帽である。観終わった感は「暖かさに包まれる」である。
LGBTQがテーマとなる作品はどんどん増えているが、それが特別なことでないということになりつつ、ということでもあるだろう。この映画も人と人が寄り添い支えあう「正常」の恋愛ものとして観られる。
ドラマは「腐女子、うっかりゲイに告る。」のタイトルで2019年にNHKで放映されているが、ドラマを観てストーリーをご存知の方にもおすすめ。純を演じた神尾楓珠と、なによりも紗枝を演じた山田杏奈のみずみずしさがとても良い。
ところで遊び場所として水族館が出てくる。泳ぐペンギンがまるで空中浮遊しているように見せる展示を背景とした主人公の2人のシーンは眼を見張るほど美しい。「水族館に行かねば」と思わせる映像である。
- 公開:2021年12月3日(金)より、TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
- 配給:バンダイナムコアーツ、アニモプロデュース
- 2021年/日本/121分/アメリカンビスタ/5.1ch/カラー/デジタル
- 監督・脚本:草野翔吾
- 原作:浅原ナオト「彼女が好きなものはホモであって僕ではない」(角川文庫刊)
- 主演:神尾楓珠、山田杏奈
- 公式サイト:https://kanosuki.jp/