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■映画『MONOS 猿と呼ばれし者たち』

2021-10-28 17:00 | 前の記事 | 次の記事

『MONOS 猿と呼ばれし者たち』copyright Stela Cine,Campo,Lemming Film,Pandora,SnowGlobe,Film i Väst,Pando & Mutante Cine

場所や時代設定は曖昧にされているが、撮影地は2016年まで数十年にわたりゲリラ組織との抗争が続いたコロンビア。雲海の上の高地で、8人のティーンエイジャーたちがブラインドサッカーに興じるシーンから始まる。ゲリラ組織の一員である彼らのコードネームは“モノス”(猿)。「組織」の指示のもと、人質である米国人女性の監視と世話を担っている。ある日、「組織」から預かった大切な乳牛を仲間の一人が誤って撃ち殺してしまったことから不穏な空気が漂い始める。ほどなくして「敵」の襲撃を受けた彼らはジャングルの奥地へ身を隠すことに。仲間の死、裏切り、人質の逃走…。極限の状況下、“モノス”の狂気が暴走しはじめる。

死と隣り合わせにある状況での、統制、抑圧、仲間、制裁、性的欲望、疑心、狂気が展開していく。どうやって撮影したのか、捨て身でそのまま川を下り、逃げ、追う者たちのアクションシーンは目を見張る。観ているだけで緊張を強いられてしまうが、圧倒的な映像で引き込まれていく。本映画のプロモーションで「途方もない映画体験」という言葉が使われている。まさに、その言葉通りの体験ができる。

誤射で殺してしまった牛(ホルスタイン種のようにみえた)を食べるシーン、ジャングルの中で飼育する豚など家畜が出てくるが、それらも次々と展開していく鮮烈なシーンを上手く彩っている。なお、牛は実際には殺しておらず、小道具、VFX、調達した本物の肉によって製作されたとのこと。

MONOS 猿と呼ばれし者たち

2021年10月30日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次

  • 監督・脚本・製作:アレハンドロ・ランデス
  • 脚本:アレクシス・ドス・サントス
  • 撮影:ヤスペル・ウォルフ
  • 編集:ヨルゴス・モヴロプサリディス
  • 音楽:ミカ・レヴィ
  • 出演:モイセス・アリアス、ジュリアンヌ・ニコルソン
  • 2019年/コロンビア=アルゼンチン=オランダ=ドイツ=スウェーデン=ウルグアイ=スイス=デンマーク,102分
  • 字幕翻訳:平井かおり
  • 提供:ザジフィルムズ、インターフィルム
  • 配給:ザジフィルムズ
  • 協力:ラテンビート映画祭