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■トイ・プードルやコーギー等の特定遺伝病の撲滅・管理が可能に アニコム ホールディングス株式会社

2021-04-16 18:14 | 前の記事 | 次の記事

コーギーのDMにおけるアフェクテッドの割合。3つの図は、いずれもアニコムグループが遺伝子検査を行っているブリーダー・ペットショップのデータに限る。

コーギー(子犬のみ)のDMにおけるアフェクテッドの割合

トイ・プードルのPRAにおけるアフェクテッドの割合

アニコム ホールディングス株式会社は、2021年4月5日、ペットの遺伝病を「撲滅」あるいは「管理」することが可能であると判断できる状況になったと発表した。同社はグループをあげて2017年よりペットの遺伝病撲滅に取り組んでいる。主にブリーダーや取引先のペットショップに向けて、遺伝子検査の提供と、その結果にもとづく適切なブリーディングや販売の提案を行ってきており、その取り組みの成果といえる。

ここでいう「撲滅」とは、アニコムグループが提供する遺伝子検査を利用しているブリーダーまたはペットショップから飼い主のもとへ、当該遺伝子検査で確認できる遺伝病の遺伝子を保有した犬・猫を3か月以上連続して引き渡ししていないことを示す。また「管理」とは、当該遺伝子検査で確認できる遺伝病の遺伝子を持つ個体が誕生しているものの、その遺伝病は致死的なものでなく、アニコムグループが提供する遺伝子検査を利用しているブリーダーまたはペットショップから飼い主に対して事前にそのリスク等が説明され、飼い主もそのリスク等を理解した上での引き渡しが3か月以上連続して行われていることを示す。

同社は「遺伝病を減らすことは、ペットを生み出した私たち人間の責任である」として、取引先とともにこの問題に取り組んできた。

遺伝病を「致死的な病気」と「QOLを低下させるものの生存可能な病気」に分類し、以下のように位置づけた。

  • 「致死的な病気」=「撲滅」すべき遺伝病
  • 「QOLを低下させるものの生存可能な病気」=「管理」すべき遺伝病

§「致死的な病気」の「撲滅」

致死性の遺伝病として、ウェルシュ・コーギー・ペンブロークやジャーマン・シェパード・ドッグに多いことで知られる「変性性脊髄症(DM)」、柴犬に多い「GM1ガングリオシド―シス」があげられる。いずれも神経症状を呈し、最終的には死に至る。これらの3犬種・2疾患について、「撲滅」に向けた取り組みの成果を確認することができる。

コーギーのDMであれば全体的にアフェクテッド(遺伝子検査の結果として示されるものの1つ。検査対象の遺伝病が発症する原因遺伝子を持っていない場合を「クリア」、素因がある場合を「キャリア」、発症リスクがある場合を「アフェクテッド」という)の割合が減少傾向にある。さらに子犬に限って言えば、3か月以上当該遺伝病の遺伝子を保有する個体の引渡しは行っていない。現状の検査体制を継続していくことで、今後飼い主に引き渡される3犬種については当該遺伝病が発症しない、すなわち「撲滅」可能な状況に至ったと同社は判断した。

§「QOLを低下させるものの生存可能な病気」の「管理」

トイ・プードルで発症が多い遺伝病として、「進行性網膜萎縮症(PRA)」があげられる。視力が低下し最終的には失明に至るが、適切な住環境等を整えるなどして病気とつきあっていくことが可能。このPRAに関する遺伝子検査が広がるとともに、遺伝的多様性を保持した状態でできる限りアフェクテッドの割合の減少を実現しつつ、一方でリスクを保有している個体については飼い主に対して事前に十分にそのリスクを伝えた上で引き渡しを行っている状況が認められた。現状の検査体制を継続していくことで、今後飼い主に引き渡されるトイ・プードルに関しては、ペット業界として適切に「管理」可能な状況に至ったと同社は判断した。

同社は「保険会社の真の役割は予防である」として、以下のコメントを出している。

大事なペットがケガや病気になって喜ぶ飼い主はいませんが、こうしたケガ・病気に関するデータは、保険金請求などを通じて大量に保険会社に集まってきます。たとえばどのような犬種が、どのような年齢で、どのような病気にかかりやすいのかという傾向が把握できます。こうしたデータを活用し、ケガや病気を未然に防ぐこと、つまり“予防”こそが、保険会社グループであるアニコムの真の役割であると考えています。今回の遺伝病撲滅・管理についても、そうした想いから取り組みを進めています。しかし実際にはまだまだたくさんの遺伝病が存在し、苦しんでいるペットが存在していることも事実です。今後もアニコムでは、遺伝病の『撲滅』あるいは『管理』を一歩ずつ実現することで、ペットとその飼い主のQOL向上に資するべく、ペット業界全体と協力して引き続き尽力してまいります。