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■スマート酪農の実証実験 株式会社INDETAILと株式会社宇野牧場

2020-08-27 13:33 | 前の記事 | 次の記事

実証実験のイメージ画像

Oracle Cloud Infrastructure

株式会社INDETAIL株式会社宇野牧場(北海道天塩郡天塩町)は、2020年8月21日、酪農における乳牛の放牧をドローンとAIで行う「スマート酪農」の実証実験を行うと発表した。両社は2020年5月20日に共同研究契約を締結している。

天塩町で酪農を営む宇野牧場は創業以来20年以上にわたり放牧での生乳づくりにこだわっている。しかしながら、160haの広大な牧草地で行う放牧には、牧草の管理(生育状況の把握・草刈り)やその日の放牧エリアの区画整理といった大変な管理業務が必要である。365日対峙しなくてはならない乳牛の管理も抱える中で、人手不足により多忙を極めるだけでなく、後継者不足にもまた悩まされている。実証実験でそれらの課題の改善への寄与を検証する。実証実験内容は、以下の2つに大別される。

  1. 最良な草地を自動選定
    • 160haの放牧地を区画し、ドローンが各区画の牧草を撮影。撮影データから牧草の生育具合をAIで自動判別し、その日の最良な放牧エリアを選定する。
  2. 放牧エリアのゲート自動制御
    • 各区画の境界線にリモートで制御可能なゲートを設置。AIが放牧エリアを選定した後、各ゲートの開閉によりその日の放牧エリアを自動形成する。

2020年7月よりドローンを用いた空撮などでの現地調査を行い、2020年9月下旬~10月上旬ごろより実証実験を開始する予定。

これらを遂行するサービス基盤には株式会社INDETAILの使用実績がある「Oracle Cloud Infrastructure」を選定。使い慣れておりシンプルな環境構築を行うことができることから、実証実験までの早期開発が可能になるだろうとのこと。また、今後のサービス拡大に向け、高速かつ効率的な運用管理が可能な「Oracle Autonomous Database Cloud」の活用も視野にあるとのこと。

このシステムの構築で、作業時間短縮・人件費の削減、牧草地の利用効率の向上、牛の健康維持、スタッフの安全向上などの効果が期待される。また蓄積されたビッグデータを用いた牧野状態の長期的な分析により、牧場経営がより安定することへの寄与も期待している。

放牧酪農への新規参入の計画もある株式会社INDETAILは、今回のプロジェクトについて、「北海道での乳業は増産意欲は高いものの運営コスト増や後継者不足といった課題もあります。先進技術を取り入れたスマート酪農の基盤を作ることで、安定した事業継続の実現を図るとともに、職業としての酪農の魅力を向上させ、次世代の担い手に夢や希望を与えられるような事業の創出に向けてより一層力を入れていく所存です。」とコメントしている。