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■日本農学賞 五十嵐郁男先生が受賞 ピロプラズマ研究

2019-04-05 19:13 | 前の記事 | 次の記事

受賞の五十嵐郁男先生。日本農学会受賞者には読売農学賞も贈られる。

 日本農学会大会が2019年4月5日に開催され、日本農学賞を受賞した7先生の表彰と受賞者講演が行われた。

 日本農学会は関連の52学会を束ねる組織で、各学会の会員数を足すと7万人を超える。挨拶を述べた日本農学会副会長の渡部終五先生は、受賞した7業績に対して「たいへんな狭き門を潜り抜けた」と栄誉を讃えた。

 公益社団法人日本獣医学会が推薦する帯広畜産大学の五十嵐郁男先生が「家畜の原虫病に対する診断、治療、予防法の開発に関する研究」で受賞した。日本獣医学会の推薦者が受賞したのは3年振りのこと。その他に以下の学会から推薦された先生方が受賞した。

  • 一般社団法人日本木材学会
  • 一般社団法人園芸学会
  • 公益社団法人日本水産学会
  • 公益社団法人日本農芸化学会
  • 一般社団法人日本土壌肥料学会
  • 日本農薬学会

http://www.ajass.jp/30_10.html)。

 五十嵐郁男先生はバベシアとタイレリアを対象とするビロプラズマの研究を行ってきた。講演では、まずピロプラズマの概要について述べた。ピロプラズマ病は、世界の牛の80%が感染のリスクのある地域で飼育され、また馬ピロプラズマも世界的に分布している。牛の症状の説明では、赤い尿をする牛の動画を交えて解説。制圧は困難な疾患で、正確で迅速な診断と早期治療が重要と述べた。

 研究は診断、治療へと展開。研究に必須の試験管内培養系を確立、ピロプラズマ原虫の基礎的研究の蓄積、診断に適した抗原の検索と進み、ELISAを開発。次いで、15分で診断がつき、野外で使用できるイムノクロマトグラフィックテストを開発し、疫学調査に威力を発揮した。またLAMP法を世界に先駆けてピロプラズマ病に応用した。

 治療法においても先駆的な研究を行い、クロファジミンが有効なこと実験で明らかにした。さらに予防法として、新規ワクチン開発の基礎的戦略を進めている。

 五十嵐先生の開発した診断法は国の動物検疫に採用され、2020年の東京オリンピックの馬の検疫に使用される。そのため国の検疫官への技術研修なども行っている。また、五十嵐先生の所属する帯広畜産大学原虫病研究センターは、国際獣疫事務局(OIE)の原虫病のコラボレーティングセンターに認定されており、世界各国の原虫病診断のコンサルタントなどを行っている。

 五十嵐先生は講演の最後に研究に携わった方々に謝辞を述べ、特に同センター長を務めた故 鈴木直義先生と見上 彪先生には名前をあげて感謝を述べた。最後に採血を行っている馬のタロウを紹介し感謝を述べ、講演を締めくくった。