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■食肉・食鳥肉衛生技術研修・研究発表会② 豚コレラ発生

2019-01-23 18:31 | 前の記事 | 次の記事

 食肉・食鳥肉衛生技術研修会ではトピックとして、農林水産省消費・安全局動物衛生課の山木陽介先生が「岐阜県における豚コレラ発生事例について」の講演を行った。

 今回の岐阜県での発生は1992年の熊本での発生以来26年ぶり。岐阜県の豚で発生した6例およびイノシシのウイルスの遺伝子解析上(豚コレラウイルスの場合は5'UTR領域、150bpが解析に使用される)はすべて近縁で、また2014年のモンゴル、2015年の中国での発生例のものと近い。かつての国内流行株やワクチン株とは異なっており、海外から持ち込まれた食品などに含まれていたウイルスがイノシシに広がったものと推察されている。

 日本は2007年に豚コレラワクチンの接種を完全に中止し、2015年に豚コレラ清浄国宣言を行った(OIEによる豚コレラ清浄国ステータス認定)が、現在は一時停止の状態。豚での発生が3か月認められなければ清浄国に復帰する。その場合、イノシシに感染が認められていても、イノシシの感染に対するモニタリングが行われ、豚とイノシシの分離対策がなされていれば、清浄国認定への差し障りにはならない。

 万が一のためのワクチンや注射器は備蓄されているが、防疫上やコストからも予防的なワクチン接種はできるだけ回避する意向。また予防的な殺処分を行ったりはしない(法律上それが可能なのは口蹄疫の発生のみ)。

 今回の初例の場合、猛暑による体調不良が疑われたということもあり、診断までに時間を要しているが、家畜防疫指針によりまず豚コレラに罹患しているかどうかを確認しなければいけないという法的な規制が診断への一助となっている。

 岐阜2018株を用いた実験感染が農研機構動物衛生研究所で行われている。発熱、白血球数の減少、うずくまり、結膜炎、活力低下がみられ、剖検所見では胃炎、脾臓梗塞、紫斑、リンパ節出血、ボタン状潰瘍、腎臓点状出血、扁桃炎が認められた。これらはアフリカ豚コレラのものと類似しており、注意が必要である。ただアフリカ豚コレラの場合は、脾臓の腫大が著しいという特徴がある。

 2018年12月25日に関市で感染が確認された6例目は、12月28日に防疫措置が完了しており、1月26日0時に移動制限区域が解除される予定(28日目で解除)。